思考を「図」という形で迫って行ったこの本は,読み返しても実に良く納得します。

『関大初等部式 思考力育成法』
圧巻は,24ページから。

指導要領を「思考スキル」という観点から分析しています。指導要領をそのまま受け止めるのではなく,思考法という視点で読み直すだけでも,実に素晴らしい読み方です。

各教科毎に「思考ルーブリック」 を設定。普通は,教科毎に何か束ねたら,それで完結するのですが,関大初等部は,そこからさらに思考法を前進させています。
教科横断的に「思考」を見直したのです。
そうして,見いだしたのが31個の「思考スキル」。
実にすごいです!

さらにすごいことが,その先に書いてあります。
31のスキルを,十分に吟味し,18のスキルに集約したのです。
それから,さらに考えることに特化した6つのスキルに絞り込みました。

この指導要領からスタートし,教科を横断させ,ついに6つのスキルへと絞り込む過程。
ここは,武道など実技的な技術を学んだことがある方には,見事!と感じられるものがあります。

技の多さは入門期に向きません。
高度な身体能力を発揮する武道でも,学び初めは数種類の基本技です。それをしっかり学び,体得するにつれ,動きの変化が別の技ともなり,あるレベルを超えると,自らの創意工夫による技へと質的に高まっていきます。

同様に,思考の技として,図を使った6つのスキルを徹底して学んだら,その先,どうなるのでしょう。
何か考えるときに図面が自然と出てきて,それを頭の中でサラッと操作して,大きな流れや個々の場面をイメージする優れた能力になると推測できます。
関西大学初等部はまだ4年生までしかありません。この先,さらに研究的実践が進むことを期待してやみません。