【横山験也のちょっと一休み】№.3632
今日は有田和正先生の御命日です。
若いころ、有田先生の御講演を何度も拝聴し、また、論文などを読ませていただき、社会はこんなに面白い勉強なのかと驚いていました。
5年の水産業での「浮き魚、底魚」の実践、6年歴史の「茶壷」の実践等々。面白いうえに内容が濃く、しかも子ども達がどんどん追究していく授業ばかりでした。
そんな中から、今日は、私が行動に駆り立てられた6年歴史の「金印」の授業の話をしましょう。
有田先生は教室に金印を2個持ち込み、どちらかが本物だ話して授業を進めました。子ども達は本物と偽物を見比べつつ古代の日本への追究が始まります。
授業として素晴らしさはさておき、私が強烈に感動したのは、金印の見せ方です。金印が本物であることを、有田先生は「私ぐらいになると国立の博物館から借りることができるのですよ。本物ですから、決して手で触ってはいけません」と子ども達に話してから、金印を見せました。
これが強烈でした。その話を聞いて、私も「有田先生ほどの先生だから、本物を借りることができるんだ」と思い、実際の授業で本物を持ち込める偉大な先生なのだと思ったのです。
そうして、金印の授業が進み、本物はどちらなのかを示す段階で、有田先生は両方の金印を手で少し触ってしまいます。
子ども達からは「ああぁ!」と声が漏れます。
実際にはどちらもレプリカなのですが、1つは本物と言って授業を進めた演出に唸りました。
「教師は役者であれ」という有田先生のお言葉が沁みました。
この授業の話を有田先生から伺って、「金印のレプリカがある」ということに衝撃を受けました。そういう物があるとか無いとかのレベル以前で、考えたことも無かったからです。
それ以来、金印のレプリカが気になり、九州に出かける用事があったら、買いに行きたいと心に秘めていました。実際に九州に行くチャンスがあったので金印の発見場所近くに行けば、売っているかもしれないと思い、友達とレンタカーを借りて買い込みに行ったことがありました。
運よく、金印公園(こういう公園があるのです)の近くの郵便局ともう1件近くにお店があり、そのどちらかで販売されているとわかり、車で向かいました。
お店の人の話では売れないので返品するところだったそうです。金印を見せてもらうと、ゴム印タイプと木のままのタイプがあったので、両方ともそれぞれ10個ずつ購入しました。
私をここまで走らせた有田実践。素晴らしいです。
たくさん購入した金印。その後、1つ、また1つと友達にプレゼントし、今は手元に一つも残っていません。中には、6年担任になり、最高級の判子として使っているという先生もいました。
有田先生の御講演、また拝聴したいですね。