【横山験也のちょっと一休み】№.3440

芦田惠之助の本の続きです。
『小学国語読本と教壇 巻七』

ここに「指黙読」「指音読」という言葉が出てきます。私が先生をしていた頃には、このような指導をすることもありましたが、この用語は無かったと思います。継承されることなく、消えていった用語と思いますが、心ある若い先生がこの語を復活させるかもしれません。

指音読も指黙読も、指で追いながら読む読み方です。低学年を教えているとよくあることなのですが、目で文字を追うのが良くできない子がいます。そんな時、指で文をなぞりつつ読んでいくと、少しは良くなります。
目だけで読めるようにするための一つのステップと思えていました。

芦田惠之助は、この「指黙読」と「指音読」について、次のように記しています。

師が率いる読みとしては、指黙読があり、指音読がある。指音読は多くの斉読の形に於て行われている。これが読む気分を一にする上に、音声を鍛錬する上に、頗る効果の多いものと思う。

惠之助の指導が見えてくる思いになりますね。「読む気分を一にする」には、何とも言えない場の様子が浮かんできます。

芦田惠之助という名前を聞いたことが無いという先生がほとんどの時代になりましたが、野口芳宏先生から学んだ経験がある人の中では惠之助は有名人です。
深みのある野口先生の国語を学んできた全国の先生方から見ると、次回のジョナサンで惠之助の本が出てくるのは、ちょっとうらやましい出来事となりそうです。

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