【横山験也のちょっと一休み】№.2890

算数の「合わせる」の話を一つ。

まず、次の問題を読んで、答えを出してください。

男5人。女4人。合わせると何人ですか。

小学校の先生にはとてもやさしい問題ですね。
「5+4=9」なので、答えは「9人」となります。
小学校ではこれで正しく、これこそが正解です。

しかしながら、年齢が進み、そろそろ婚活を・・・、と思い始めると、問題文が次のところまで来た時に、ちょっと意識が変わります。

男5人。女4人。合わせると何人

この合コンに参加する男5人は、ふと気になり、次のような場面を思い浮かべてしまいます。

男5人。女4人。合わせると何人残りますか。

良い相手と出会えますようにと願って参加するのですが、男女の人数差が気になります。
男が1人多いので、もしかしたら自分が・・・との思いが頭を走ります。

結婚は算数的に言えば一対一対応ですから、1組ずつ合わせていくと男が1人あまります。
ですので、「5-4=1」となり、答えは「1人」となります。
合わせる問題なのに、足し算ではなく、引き算となってしまいます。
小学校の算数文化としては、認めがたい奇怪さです。

ところで、「合わせる」という言葉を国語辞典で調べると、面白い意味が出ています。
日本国語大辞典で最初に出てくる意味を引用します。
「(合)物と物とを一つに重ねる。また、物と物とをつり合うようにする。」
合コンのような場面が頭に出てきてしまうと、この意味がかなり適切に思え、足し算の意味の方が少々遠いような感じになります。

こういうこともあるからか、算数の問題文では

男5人。女4人。合わせると全部で何人ですか。

と、「重ねる意味ではありませんよ」「つり合うようにする意味でもありませんよ」ということを、「全部で」とか「みんなで」という言葉を補うことで暗に言っているように思えます。

こんなことを思うと、小学校1年生の文章題で使われている言葉にも、奥の深さを感じますね。


下の2冊は、私の書いた算数の本と、道徳の本です。道徳は広山先生と一緒です。


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