何を読んだか,よく把握できていませんが,今年はデカルトの『精神指導の規則』(岩波文庫)がとても良かったです。
細かい良さはほとんどないのですが,大きな流れという「文脈思考」にガツンと来ました。こういう本は誰にでも同様の衝撃を与えるわけではありません。自分の思考が文脈思考になっているかどうかによって,ガツンと来るか来ないかが決まります。
算数が未来永劫変化しないはずがない。算数も他の歴史同様に進化する。その進化のきっかけが何であるのか,それが問題だ。
とまあ,こんなことが頭の中にあるので,そこに大きな刺激を与えてくれたのす。
この衝撃は,『作法教授要項』の発見より何倍も強いものでした。「前進する」というような意味合いの言葉として「デカルトする」と言ってしまうほどの自分になっています。
次に面白かったのは,『魏志倭人伝』です。まさか,『魏志倭人伝』に日本人の根本にふれる句があるとは思いもよりませんでした。人柄や性格などは書き物の中にしか残らないので,具体描写されている随筆などに目がいくようになり,読書傾向に影響を与えてくれました。
本は「思考の宝の山」です。先達が力の限りに書き残した「思考の遺跡」です。気になるところをどんどん発掘すれば,小発見の連続があり,あるとき大発見に出くわし,現実の自分との融合が進み,オリジナルの研究的思考が進んでいきます。