宇佐美寛先生の新刊『国語教育を救え』
7月11日に発売されます!!
楽しみです!!
■台形の面積の求め方が■
相変わらず、毎日、毎日、ルワンダの算数の教科書を見ています。
さらっと見ていると日本との違いが分からないのですが、じっくり見ると結構見えてきます。
なかなか面白いです。
今日は、台形の面積の所を見ていました。
日本では、普通、左のようにして求めていきます。
台形を2つにして、1つを逆さにして並べるやり方です。
これなら「上底と下底を足して、高さをかけて2で割る」とすぐにわかります。
でも、ルワンダの教科書には違う方法が載っていました。
対角線で2つに分けて、三角形2つにして求めます。
これもわかりやすいのですが、計算段階で、
三角形の面積+三角形の面積
となり、÷2が2回出てきてしまいます。
2つの÷2を1つにまとめるところが、ちょっと厄介な気がします。
この2つのやり方を見ていて、ふと思うことは、日本のやり方を発想として気が付くのだろうか、ということです。
たぶん、ルワンダの分割する方法の方が、気が付きやすいです。
ですが、その先の公式にするところで、大変さを伴います。
そういうこともあって、日本では発想しづらくても、公式化しやすい、つまり、なぜこの公式になるのかという理由を説明しやすい方法で学習しているのだと思っています。
「理解に力を入れている」と言えますね。
さて、「台形」という言葉ですが、戦前は「梯形(ていけい)」と呼ばれていました。
梯子(はしご)の形、ということです。
今の時代の梯子は、ステンレスでできていて、どう見ても、台形らしさがありません。
でも、昔の梯子は台形に見えていました。
<こちら>の写真をご覧ください。
この「梯形」も、戦後の漢字制限で「梯」が使えなくなりました。
時の学識ある方々が考えてくれ、「台」となりました。
私は、「台」と決定した方々を、実にすごいと思っています。
1つは、画数がすくななったのが良かったこととなります。
それ以上にすごいのは、梯子(はしご)がその後姿を変えてしまったことです。
どう見ても、台形はどこにも見えません。
正方形や長方形しか見えない形に変わってしまいました。
そんな長い将来を見据えて台の字に変更したのではないかと思うと、「台形」の言葉には、先達の何かすごい予見力を感じています。
さて、ルワンダの台形の面積に話を戻します。
日本では「(上底+下底)×高さ÷2」と学びます。
しかし、ルワンダでは次のように学びます。
「1/2×(平行な辺の合計)×高さ」
これは、ルワンダに軍配を上げたいです。
台形の向きが変わると、上底・下底を見つけるのがすこし難しくなるからです。
平行に着目すれば、足すべき辺を見つけるの少し簡単になります。
合わせる辺の性質を公式にしているところ、にくいですね。
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