小学校で習う単位として,km,m,cm,mmがあることは,誰しも知っていることです。
私が小学校6年の時,担任の先生が,デシメートルやデカメートルなどもあったことを話してくれました。
さっき読んでいた昔の算術書『尋常小学 新算術書解説』(昭和2年)に,このデシメートルが出ていました。「dm」と書きます。
「スラスラと出来るまで」
「実測によって確実に」
「簿上に発表」
「口頭ででも発表」
指導の仕方は,今とさほど変わっていません。今の算数の指導では,「必要感」が重視されています。上の「実測」には,必要感が込めやすいです。
「簿上」の「簿」は帳面のことです。帳面というのはノートのことです。「簿上に発表」というのは,今で言うノートに書くことです。書くこと自体が発表なのです。何しろ,ノートは貴重品です。単なる練習は石盤に書き,布で拭いて消し,また書き・・・と勉強していた時代です。「ノートに発表」の時は,ささやかながらも緊張感があったことでしょう。
ところで,このデシメートルですが,10cmが1dmなので,かなり把握しやすい単位といえます。30cm定規は「3デシ定規」となります。身長が140cmの子なら,「身長14デシ」となります。どことなくおもしろいです。
この頃は,メートル法を使い始めた頃で,まだまだ生活の中は「尺」「寸」でした。1尺が30cmちょっと,1寸が3cmちょっとですから,日頃使っている尺寸の単位を1/3したぐらいがちょうどデシメートル,センチメートルとなっていました。デシメートルは,メートル法へ移行するのにとても大切なクッション剤だったのではないでしょうか。