【横山験也のちょっと一休み】№.2763
ちょっと時間があったので、伊藤仁斎の『童子問』を読み返しました。
以前から好きだった名言、
「内は外を資(たす)け、外は内を養う」
この言葉とも再会し、しばし、思いにふけりました。
『童子問』は岩波の文庫にも載っていますが、『近世思想家文集』の97巻にも載っています。
今回は、後者の方を読みました。
「童子問」という言葉から、「子どもへの問いかけかな?」と思う先生もいるかもしれませんが、そういう類の本ではありません。
『論語』『孟子』の教えを伊藤仁斎がキッチリとらえ、質高く記した本です。
それを童子が問いを出し、仁斎が答えるという形で展開されていくスタイルになっているので、童子問なのです。
この「童子が問いを出す」というスタイルですが、論語に出てくる
「憤せずんば啓せず」
が思い出されます。
学習者が「これはどういうことだろう?」「こっちと、こっちの違いはなんだろう?」と思い考えてもわからず、何とか解決したくて、「先生!!」と声を上げてしまう姿です。
これからの時代の教育にも通じる姿ですね。
「道徳読み」はこの姿に近い授業となります。
問いではなく、自分が見つけた道徳を発表したくなるのです。
慣れて来たら、童子問のように疑問が湧いてくる子も出てくるかもしれませんね。
そうなったら、すごいです。
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