宇佐美先生にお電話をしました。合評会がいつ開催されるか伺いたかったからです。お話によれば,3月中に開催されるそうです。場所は,千葉大学の教育学部。決まり次第,教えていただけることになりましたので,3月は楽しみな月になりました。

  合評の本は『問題形式で考えさせる』(大田邦郎,東信堂)です。
  大田先生の本といえば,『読むだけ微積分』(学研)が私にはとてもためになりました。やっぱり,算数につながりの深い数学の入門書的な本は楽しいです。大田先生は数学の先生です。お会いしたときには,算数・数学のお話も少し伺えたらと思っています。

  『問題形式で考えさせる』には,大田先生の「学校と教育」という授業の授業記録が記されています。授業記録ですので,出題した問題がそのまま記されています。
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・ 現在の小学校の教科の名称である国語,社会,算数,理科のうち,もっとも早くから使われていた名称はどれか。
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  私の好きなジャンルです。興味がわきます。これは,たぶん理科と思います。本のどこかに答えが載っていましたが,忘れました。
  私が「理科」と思ったのは,単なる当て推量です。
  当て推量になってしまうのは,答えを導き出すとっかかりが無いからです。出題が知識を問う単純クイズになっているからです。
  こういう単純クイズであっても,興味があるので,頭の中が少し動きます。どうやったら調べられるか,その調べ方が頭をよぎります。辞書的に答えが出ているところを見つけるのではなく,具体的に確証が持てるような調べ方は無いかと,頭が巡ります。すぐに,昔の教科書の表紙を時代別に見てみたい!と欲求が出てきます。そうなったら席を立って図書館に走りたくなります。戦前の教科書の表紙を実際にこの目で見て,確認したいのです。
  調べ方が明確になると,それだけでも自分に納得できる一瞬となります。やっぱり,興味のあるところが出題されると,それは面白く,良い気分になります。興味は学習の重要な要素です。

  ところで,「教科名が変わる」こと,これ自体が興味深いことです。
  「読本」「習字」が「国語」に代わりました。「算術」が「算数」に変わりました。「地理」や「国史」が「社会」に変わりました。「窮理」などが「理科」に変わりました。
  気になります。名称に込められている意味が。

  「算数」は「数」を「算」するのです。あるいは,「数」で「算」するのです。これを知るだけでも,算数の柱が見えてきます。
  「国語」は「国」の「ことば」です。国が良いと認めることばです。下世話な言葉ではなく,良い言葉を学ぶのが国語の時間と理解できてきます。古典の登場は実に良いことです。
  「理科」は「理」するのです。法則性や規則性を見いだすのです。1つを見て判断するような学習ではなく,複数を見ることが基本と見えてきます。
  「社会」は「社」で「会」うのです。しきたりを学ぶことが根底にあるのだととらえられます。

  こんな感じで,あれこれ思いめぐらせてくれる良い本です。合評会が楽しみです。それまでの間に,再度読み返して,頭を巡らしておきたいと思います。ありがたい機会です。