【横山験也のちょっと一休み】№.3218

ちょっと休憩して、テレビで古い映画を見ました。
モノクロで、しかもサイレント。
主演は坂東妻三郎。

サイレント映画なので、映像の合間にト書きが出てきます。
古い映画なので、映像も楽しいうえに、ト書きも少々古めかしく、その言葉遣いにも楽しさを感じていました。

そうこうする内に、驚きのト書きが出てきました。
「ムりませぬか。」
もちろん、縦書きです。
「無理ですか」の間違えかとも思ったのですが、どうにも意味が通じません。弁士は「ござりませぬか」と読み上げていました。

どうして、「ムり」が「ござり」となるのでしょう。
それこそ、無理があると感じました。

変だなぁと思い始めると、ますます気になってきます。
映画を中断して、ネットで調べてみると、「ム」は「ござる」の「ござ」と読むことが出ていました。
毎日新聞の<毎日ことば>に詳しく載っていました。
「芝居小屋で客にゴザを貸すとき△の記号を用いたことからという。」と出ています。この△がムになって文字として使われていたそうです。

この「ムりませぬか」が出てきた映画は、「雄呂血(おろち)」です。
1925年(大正14年)の作品とウィキに載っています。
実際に書き言葉として使っていた生の「ム」を文字としてみることができます。貴重なフィルムです。

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