【横山験也のちょっと一休み】№.3466
『雲萍雑志』には、孔子のような儒の教えが書いてあるので、読んでいる私を楽しい気持ちにしてくれます。手元の岩波文庫には4巻分が収められており、「巻之二」の2つ目の話に「夢想国師」が書いた事が紹介されています。
人は長生(ながいき)せんとおもはゞ嘘をいふべからず。 嘘は心をつかひて、少しのことにも心気を労せり。 人は心気だに労せざれば、命長きことうたがふべからず |
続けて「鉄枴(てっかい)仙人」の言葉が出ています。
仙人は不養生せず 腹立てず ものほしからず それでなが生(いき) |
「嘘を言うな」「腹を立てるな」「欲しがるな」
これが長生きの秘訣のようです。
人をだましたり、すぐにカッとなったり、欲の皮がつっぱたりは、素直にダメだなと思います。
短い文章ですが、よい修養になっています。
それだけでなく、「おっ!」と感じ入った嬉しい言葉とも出合いました。
上の仙人の言葉の頭に、次のように書かれています。
「鉄枴仙人の賛に、」
この「賛」というのは、短い誉め言葉のことです。小学校ですと、絵や粘土などを掲示すると、先生が赤ペンで一筆書いて貼り付けます。これが賛です。自分の絵を自分で褒めると「自画自賛」となり、あまり立派な行為とはなりませんが、そこでも使われている「賛」です。
一言朱書きした紙を「批評箋」などと呼んでいたこともありましたが、「箋」は細長い紙の事で、その内容は「賛」となります。SNSが広がって、友達の書き込みに賛を書くことが増えたような気もしています。
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