【横山験也のちょっと一休み】№.3616

算数の話をあれこれ書いていますが、自分の中では簡単にジャンル分けをしています。
【算数の授業で使える話】
【算数の授業では使えそうに無いが、知っているのも良いだろうという話】
【算数の理屈の話】

これを少し短く【算数の授業話】【算数の教養話】【算数の理屈話】としています。

今日は「不等号の読み方」の話を書きますが、ジャンルで言うと【算数の教養話】となります。

5>3」の読み方は、中学あたりで「5大なり3」と学んだと思います。小学校ではこれを「5は3より大きい」と読みます。
中学校と小学校で読みの順番が違うので、「あれっ」と思う先生もいることと思います。

中学校では、「5→大なり→3」と、「5>3」の順番通りに読んでいます。
小学校では、「5は→3より→大きい」と、書いてある順番とは違う流れで読んでいます。小学校の言い方に対応して、式を書くと「5 3 >」となり、「なんだこれ?」となってしまいます。

不等号の読み方で、ちょっとした苦労をしているのが日本人なのです。読む順番は違うし、途中で読み方が変わるし。

なぜ、順番や読み方で苦労しなければならないのかというと、「5>3」は英語だからです。
アメリカ人は、「5 is greater than 3」と言い、それをその言い方のまま記号化して「5>3」となっています。ですので、アメリカ人にとっては、普段の言い回しのまま記号化されているので、迷いがありません。単純に「greater than」を「>」に置き換えるだけです。これは「がっこう」と「学校」と漢字で書く程度のことと同レベルです。

日本語とは異なる文法の世界で生まれた式なので、日本人には言い回しがちょっと奇妙な感じになっています。欧米の子に比べ、ちょっとしたハンデがここにあるようにも思います。
が、子ども達は順応精神が高いので、先生が意図的に10回20回口にしてくれれば、そういうものかと、子ども達は受け止めてくれます。「不等号さかなクン」などを使って、気持ちをひきつけている時に、先生が何度も読み上げたら、それで十分OKです。

さて、もう一つ気になるのは、中学では書いてある通りに読むのですが、「5大なり3」と何となく固い感じになります。なんででしょうね。
英語と中国語は文法が似ているので、書いてある順番通りに読むと、どうしても漢文調になってしまったというのが真相だろうと思います。この読み方を考案した学者先生は漢籍にも造詣の深い先生だったのだろうと思います。

下の本には、不等号の読み方の話は出てきませんが、小学校の先生にはナイスな手作り教材がたくさん載っています。