【横山験也のちょっと一休み】№.3204
算数に関する何か面白いことが載っているだろうと思い、『出雲国風土記』を購入しました。講談社学術文庫です。
仕事の合間に少し読んでは机に置き、また、思い出したように読む程度ですが、けっこう品質のいい内容と出合えました。
宍道(ししじ)の郷(さと)を記したところに、大きな石の話が載っていました。そこに、目を引く記述がありました。
「長さ二丈(つえ)七尺(さか)、高さ一丈、周(めぐ)り五丈七尺。」
石の寸法です。
ご存じのように、風土記は地方の国の概要を記して政府に提出した公式の記録です。
公式に伝える文書ですので、どう書いたらいいかも、それなりに検討されていたと思います。
それでも、「石のサイズの表し方はこうしましょう」と、そこまでは決めていなかっただろうと思いました。
ところが、このページに3つの石のサイズが記されていて、そのどれもが「長さ→高さ→周囲」の順でした。
出雲国の識者は多分、この順で書くと石の様子がよく伝わると考えたと推測できます。
「長さ→高さ→周囲」という3項目での表し方は、私には珍しかったので、豊後国風土記にも石のサイズが載っていたことを思い出し、そちらも開いてみました。
出ていました。
「石有り、長さ六尺(さか)、広さ三尺、厚さ一尺五寸(き)なり。」
「長さ→広さ→厚さ」というのは、今風に言えば、「縦→横→高さ」です。
豊後国では「縦横高さ」と計測が実に簡単になっているのですが、出雲国では「縦高さ周囲」です。ちょっと妙な気がしてきます。
もしかしたら、出雲国の石は直方体とは遠い丸みのある石だったのではないかと思います。
この石があるのは石宮(いしのみや)神社と本に載っていたので、ネット見てみました。どうもそんな感じの石のようです。
寸法を表す際に、出雲国でも豊後国でも、長さを真っ先に書く習慣があったようです。これも面白いことなので、また機会があったら書きたいと思います。
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石のサイズや風土記のことは載っていませんが、こちらの2冊には、算数の面白い教材アイディアが載っています。
ネコちゃんも登場しています。可愛いです。