【横山験也のちょっと一休み】№.2894
本を読んでいると、唐突に書かれている漢字に引っかかることがあります。先日は、「出」に奇妙な思いが生じました。
「出る」という動きの伴う読みをするのですが、見た目は「山」と「山」なのです。
縦に山が2つ重なったら、もう動きようがないだろうと思います。
そんなところから、「出」を新選漢和辞典Web版で調べたら、解字に次のように書いてありました。
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象形。草木がしげって上に出る形である。
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「出」が植物の動きとはまったく気が付きませんでした。
自分の思いこみがあてにならず、お粗末なものだと苦笑いです。
漢和辞典には、古い漢字の字形も載っていました。それと、解字を組み合わせると、私には「出」が左のようなイメージになりました。
ここまで来て、「出」の1画目の縦棒は「茎」だったのかと得心した次第です。茎をまず書いて、それから葉っぱを書いて出来上がるのが「出」なのです。
また、「出」は、窮屈な地中から、ゆったりとした空間へ伸びていく様。そんな風に感じます。算数っぽく言うと、閉じた環境から、開かれた環境へ移るという感じです。
そこから、具体的な姿をイメージすると、確かに、「廊下に出る」とは言っても、「教室に出る」とは言いません。
「校庭に出ましょう」と言いますが、「校舎に出ましょう」とは言いません。
解字の意味とのピタリ感があり、納得します。
こういう規則的な姿が見えてくると、算数好きの私は嬉しい気分になります。
でも、漢字は国語の世界です。算数程のスッキリ感で全部を覆うことは難しいです。
すぐに、「授業には出ると言うよね」と自分で言ってしまいます。
自由な身にありながら、お堅い授業に「出る」のです。
この反例を見ると、規則性が乱れます。
乱れを少しでもかわせられたらと、ちょっとひってみたくなります。
授業は学ぶことでより大きな自由を獲得するので、先を見込んで「出る」と言っているのかもしれないと思うと、授業の大切さが少し伝わってくるような気がします。
拙いことですが、こういうことを考えるのも楽しいものです。
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この本に出ている、算数の楽しい手づくり教材も、こういうひねりみたいな思考が結構使われています。
面白い本です。
ゴトウマキエさんのネコのイラストもたくさん出てくるので、そこも楽しいです!
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