卒業式の練習を頼まれ,関西大学初等部へ行ってきました。
1時間指導しましたが,子ども達が素晴らしかったです。
教えたことをどんどん吸収する力のある子ども達です。
平素からかなり質の高い学習がなされていると思いました。
私が指導したのは,主に次の5つです。
1,姿勢
2,起立・着席
3,礼
4,証書授与
5,返事
この中で最も厳しく指導したのは,「姿勢」です。
45分間の指導中,子ども達が背もたれに背中を付けていたのは,僅か2分程度。
後は,立腰状態でずっと練習をしました。
こういう力を子ども達が一気に持つことができたのは,子ども達が「最高の姿」を意識的に実行する力を持ったからです。
作法のように,体を自分で操るものは,自ら最高を求める心を持つことが,出来映えを左右します。
関西大学初等部の子ども達は,この「最高の姿」を求める心が,練習中,一貫して強かったのです。
卒業式の指導を御依頼くださったのは三宅先生です。
練習する教室に案内され,まず,「さすが!」と思いました。
案内された教室が,平素使っている教室では無かったのです。
作法には,「日常作法」と「儀式作法」の2種類があります。
日常作法でしたら,平素の教室で行います。
卒業式は,日常から離れた儀式です。そこには伝統が入り込みます。
場を変えて指導すること。これが子ども達の学びを力強くします。
次に,椅子がとても良かったです。
実際に卒業式で使う椅子だったのです。
いつもと違う椅子も,子ども達の学び力を高めてくれます。
三宅先生の指導力の高さをこの場作りでも感じました。
卒業式の練習をするにふさわしい場作りをしてくださっていたので,私の指導も子ども達に届きました。
卒業式の練習中,嬉しい出来事がありました。
1つは,大事な卒業証書を私が落としたことです。
おもむろに拾ったのですが,誰一人として笑いません。
それどころか,微動だにしません。
非常に立派でした。
もう1つは,練習中に咳をした子がいたことです。
その咳の仕方が実に立派でした。
押し殺すように咳をしただけでなく,手を口に当てて,少しはすを向いて咳をしたのです。
余りに立派だったので,再現してもらい,みんなに見てもらいました。
良い機会ですので,上座を教え,下座に向いて咳をするとなお良いことを話しました。
最後の1つは,返事の指導をしたときに起こりました。
マスクをしていた子が,全員,マスクを外しました。
風邪を引いていたり,花粉症になっている子は,マスクをしていてかまいません。
しかし,それでは「最高の返事」を届けることが出来ません。
それにサッと気がつき,自分からマスクを外しました。
「最高の卒業式」をしようという強い気持ちが伝わりました。
立派な判断でした。
来週は,野口塾ビギナーズです。
卒業式の作法を話ししますが,関西大学初等部の子ども達の話しも少し交えて話したいと思います。