【横山験也のちょっと一休み】№.3734

計算のきまりの一つとして( )を学びます。
これを教える時に、50×(2+1)=と黒板に書いて、「括弧があったら括弧を先に計算するんだよ」と言って、どんどん進めることもできます。
若いころの私はこんな感じでした。

ただ、これだけでは淡白なので、「どうしてかと言うと、括弧はカッコいいからです」などとダジャレを言って楽しませていました。
このダジャレ系としては、「後回しにされる+や-は子どもたち。×や÷は先にやるので先生。そうして、( )は一番先にやるので校長先生です!」と、比喩的な表現も使って話していました。
案外、面白がって聞いてくれました。
これは野球で言えば、直球に笑いをまぶしたタイプと言えます。

先生を長くやっていると、だんだんこういう直球の授業より、もう少し子ども達が考えるやり方の方が、何となく内容の濃い学習と思えてきます。

そういう方法を一つご紹介しましょう。
まずは、設定です。
50円のパンを3個買います。求めるものはその代金です。
黒板には「50×3」と書かれます。

板書を見せて、「3のところを2+1にしてもいいですかねぇ」と子ども達に聞きます。3個買うのと、2個と1個を買っても代金に変わりはないかということを聞くわけです。

子ども達は「いいです!」と返事をしてくれるので、黒板に新しく式を書きます。
「50×2+1」と。

ここで話すのをやめて、2つの式をジッと見るようにしています。
すると、子ども達がざわつき始め、何やら言い出す子もいます。

3は確かに2+1なのですが、それをそのまま式にすると、答えが違ってきます。代金は50円のパンが3個なので150円と決まっているのですが、式に書いたら150円になったり、101円になったりしています。これでは、トラブルが起こってしまいます。また、もっとたくさん買った時には、ハチャメチャになって、どれが正しい代金かわからなくなりそうです。

そう言うことが無いように、誰が見てもきちんと150円になるような式を昔の人が考えました。それが( )です。( )を先に計算するというルールを作ることで、誰もが150円と分かるようにしたのです。

ルールを作ってルールを守る。これが大事なんだねと、小さな道徳っぽい話をすることができます。
高々括弧ですが、されど括弧と感じられて来ます。


こちらの3冊には楽しい算数のあれこれがたくさん載っています。小学校の先生向けですが、御家庭で読まれた方もいらっしゃいます。ありがたいことです。