ベトナムの道中に何を読んで楽しむか,それを思案するのも事前の楽しみの一つになっています。
今回は,野口先生と御一緒です。それも,同じホテルの同じ部屋です。
私も気持ちも高まりそうで,そこそこ気合いの入った本が良かろうと思ってこの本にしました。『国民性十論』です。
野口先生と本の話しになったとき,「ふざんぼう」じゃないか,と真っ先に出版社名を声にされました。続いて,著者,校注者の名前を見て,一流の国文学者だねと話してくれました。
そういう価値をあまり知らずに読んでいる自分が少し情けなくなり,勉強不足を感じた次第です。
この本は明治34年,35年に書き下ろされた本を昭和13年に校注をつけて出版したものです。ですので,戦前にはかなり読まれた本だと分かります。
どういう国民性を持っていると書かれているか,気になるところですが,印象的なのは,第1章にいきなり出てきたシーボルトの講演引用です。6年生の社会の歴史に出てくる,あのシーボルトです。
西洋の革命は国王に対する不満から起こる。
しかし,日本では革命が起きる度に皇室の稜威をますという話しです。
シーボルトは明治維新を見る直前に亡くなっているので,維新の革命を見たら,いっそう強くこれを思ったことでしょう。
こういう話しから始まり,「家の先祖,共同の先祖」「採長補短」など,いろいろな視点からの国民性について書かれています。
勉強になります。