2021年11月16日(火)22:25:39

算数の「位」と「桁」

【横山験也のちょっと一休み】№.3198

算数の数や計算で、似た言葉として、位と桁が用いられています。
一の位とか、千の位という言葉があり、筆算では「位をそろえてください」などとも使います。
大方が「位」と用いるのですが、365など位が3つの数を書いてもらうときは「3位の数を書いてください」とは言いません。ここは、なぜか「3桁の数を書いてください」となります。

繰り上がるときは、「一つ上の位に繰り上がって」というと、ちょっと丁寧な感じがして、「一桁上がって」となると、こちらは俗っぽさが出てきます。
ところで、位は「にんべん」です。
桁は「きへん」です。
同じ意味なのに、偏が違うので、どうしてなのだろうと思います。
それ以前に、数や計算に「にんべん」「きへん」は、あまりかかわりが無いように思えます。
それで、漢和辞典で調べてみたら、位は、「人+立つ」なので君子などの前で立つ立ち位置によって身分が決まるというような、階級を表す意味がもともとあったようなのです。
すると、位が上がるとなんだか上の階級になっていくようなニュアンスも感じられてきます。
一の位を足したら、答えが15になったので、10を一つ上の十の位に移して…と進めていくので、一の位より十の位のほうが少々偉いようで、十の位より百の位のほうが偉いのだろうとなってきます。
繰り上がるとか、繰り下がるとかというのは、単なる位の上下なのですが、組織化された人間社会からの比喩表現とも見えてきて、人間模様とダブらせると少々愉快な気分になります。

では、桁はというと、こちらは皆さんがご存じのそろばんの用語です。
そろばんの珠を貫いている棒のことを桁と呼びます。棒の名称だったのが、数の位を意味するようになり、そこから「桁外れに大きい」とか「一桁違うね」などと、日常でも使われるようになりました。

ここまで来て、ようやく気が付くことになります。
「ひとけた」「ふたけた」とは言うが、「いちけた」「にけた」とは言わない。
「いちのくらい」「いちいすう」とは言うが、「ひとくらい」「ふたくらい」とは言わない。
どうも、「けた」は和語と相性がいいようですね。そろばんから出ているところからも、雅な香りではなく、日本臭さ俗っぽさが伝わってきます。
そこへいくと「くらい」は漢語にくっつきますね。格調高さが湧き出ていたのは、そのせいかもしれません。

算数は面白い不思議な世界も持っているので、あれこれ考えるのも楽しいひと時になります。

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この本に登場するネコちゃん、可愛いです。

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