途中まで読んで,そのままになっていた『暮らしの中の太平洋戦争』を,改めて読みました。
戦争中の書籍・冊子のみならず,ビラや散らし,パンフなどを膨大に集め,そこから当時の暮らしに戦争がどう入ってきたかが書いてあります。
この本のすごみは,その当時の資料が次々に登場してくるところにあります。
「当時は「夏休み」とはいわず「夏期鍛錬期間」といった」
野口先生からも聞いたことがあります。
名称の違いは,やる気の違いにつながります。
夏休みは,「夏の自己鍛錬期間」とでも改めた方がグッドです。
「すべての民間自動車が木炭や薪を使う「代用燃料車」(略称=代燃車,以下略称を使う)であった」
昭和13年に国家総動員法が成立。
その5月のことが記されている。
「タクシー業者に割り当てられる一日分のガソリンは七ガロン(約二六リットル)強で,これでは従来の調子で運行すると約65キロメートルしか走れない。」
開戦が16年なので,その前から,生活はかなり厳しくなっていることがわかります。
「結納は簡素に約束の儀礼として行うこと。即指輪,袴,帯,小袖等は之を全廃し,鰹節,鯣,末広(扇),熨斗,昆布等は目録の交換のみに止めること」
礼儀作法に関わる所ですが,こういう制約を出すのは,平和なときの真逆です。
平和な今の時代は,物を回してお金が動くようにすると景気は良くなります。
生活が苦しくなって,その上に,逆のことをしているのですから,景気もどんどん悪くなり,物も停滞します。
具体的に話が伝わってくる良い本です。
現場重視派の先生に向いています。
感覚で勝負する先生には刺激が強いかもしれません。
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