野口塾in大阪の発問道場の題材となった「スイミー」。
作品中に,スイミーが逃げている途中に見た光景がでてきます。
1,にじいろの ゼリーのような くらげ。
2,水中ブルドーザーみたいな いせえび。
3,見た ことも ない さかなたち。
見えない 糸で ひっぱられて いる。
4,ドロップみたいな いわから 生えて
いる,こんぶや わかめの 林。
5,うなぎ。かおを 見る ころには,
しっぽを わすれて いるほど
ながい。
6,そして,かぜに ゆれる
ももいろの やしの
木みたいな いそぎんちゃく。
この6つの内,話の筋を考えたとき,重要となってくるのはどれか。
そんなことを,一昨日書きました。
正解は,3番です。
では,なぜ3番目の光景が重要なのでしょうか。
スイミーは最後に新しい兄弟を大きな魚のようにしました。
どうして,大きな魚のようにしたら良いのだと気づいたのか。その切っ掛けとなったのが3番の光景を見たことなのです。
はじめ,スイミーは兄弟たちと一緒に暮らしていました。群れているのですが,スイミーは群れの中にいるので,その群れがどんな形・動きをするのかはわかりません。
また,他のさなかの群れも見たことがなかったのです。
ところが,逃げている途中で別の魚の群れを見たのです。群れの外から見たので,その泳ぎが,まとまりある群れに見え,その動きが「見えない糸で引っ張られている」ように見えたのです。
ですので,「見た ことも ない さかなたち。」から,初めて見たのは,「種類として魚」もありますが,もっと重要なのは,その集団が作る「群れの形・動き」を初めて見たことなのです。ここは,見落とせないところです。
この群れを見たことで,マグロより大きな魚の形をした群れを作ればいいのだと,スイミーは考えついたのです。
(1)大きい方が勝つ。
マグロに襲われることで,(1)をスイミーは知りました。
でも,これだけでは,大きな魚のふりにはたどり着きにくいです。
(2)見えない糸で引っ張られるように泳げる。
逃げる途中でこれを見たので,「ふりができる!」と思考が進んだのです。
この思考は,大人の私でもたいしたものだと思います。
ここまでわかれば,「スイミーは おしえた。けっして はなればなれに ならな こと。」とあるところで,スイミーがどんな言葉を発したのかもわかってきます。
「見えない糸でつながるんだ!」というような言葉となります。
この場面で「見えない糸」とつながることで,全体に大きな筋ができてきます。
こういったことを授業で教えると,「見えない糸」が学級経営にも生きてきそうですね。
良い作品ですね,「スイミー」は。
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