【横山験也のちょっと一休み】№.3707
山中伸之先生のメルマガ「実感教育メルマガ」で、『国語の授業 とりあえずこれだけやっとけ!』が連載されています。
音読の授業から始まり、今は漢字の指導が届いてきます。
その中身は実に王道の話で、若い先生で国語にちょっとお悩みが・・・。そういう先生にはぜひ読んでいただきたいと思う内容です。
お申し込みは<こちら>です。無料です。
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山中先生の具体的な記述を読むと、その昔の国語のあれこれが思い出され、あんなこともあったなぁと懐かしんでいます。
せっかく思い出したので、少し書いてみたい思います。
==つっかえ読み==
「つっかえ読み」なんて、変な読み方ですね。でも、わざとつっかえて読むことではありません。
国語の時間には、先生がお手本として教科書を音読することがあります。それが若いころの私は嫌いでした。「本は声に出して読むようなものではない!」との思いがあり、一人で黙々と読むから本気になって読めるのだ、などと思っていました。
また、目で見た文字と言葉とが同調することは、肉体の問題であり、内容認識の問題ではない、などと偉そうなことを思っていました。
そんな私ですので、自分自身の音読には力が入らず、ぶっつけ本番で音読することが多々ありました。
そんなある日、確か3年生を受け持った春でした。
私が音読をし終えたその時、一人の元気のいい子が、「先生は、7回つっかえました」と言い出したのです。そんなことを言うんじゃないの。先生がつっかえて読んでいても、何事もなかったかのように過ごすのが立派な子のすることと、内心思うのですが、ストレートに言われてしまうとこちらもびっくりです。
「そうか、先生は7回もつっかえたか。これはちょっと格好悪いので、もう1回読むから、何回つっかえるか数えてね」とみんなに言って、再読を始めました。
すると、どうなったでしょう。
まずは、2度目の音読ですからつっかえは減ります。それもかなり減ります。これは0と1の差なので、うんと減るのが通常です。
ですので、読み終わった後には、子ども達から拍手が起きました。つっかえが少なくなっていたからです。「これを努力と言います」とかなんとか、先生らしい一言を言ったように思えています。
面白いなぁと感じたのは、間違える回数をカウントしてもらった時の方が、子ども達の聞き方が真剣になっていることでした。
まったりと、教科書を見ながら聞いているのではなく、的確に文字を見て、聞こえてきた声との照合を逐一行っています。
そこで、「先生は7回つっかえたけど、みんなは先生より少なく読めますか」と聞くと、子ども達は元気になって「読める!」「絶対に読める!」「先生に勝つ!」などと炎状態になります。
中には、「先生、ちょっと練習していいですか」と言う子もいます。それはズルではないかと思いますが、自ら進んで読みたがっているのですから、OKとなりました。妙な形で自主的音読が始まるわけです。
そうして、友達同士で相互に読み合い、カウントしてもらいます。
これが「つっかえ読み」です。
つっかえ読みはつっかえても良いのです。
ただ、先生より回数が多いと、先生に負けたとなるだけのことで、2回目3回目とチャレンジするとみんな先生をこえます。
こういうちょっと面白いことをまぶして音読をすると、音読に興味を持ち始めます。この面白いことがシステム1への刺激であり、そのシステム1のパワーによってスラスラ読んだり、気持ちを込めて呼んだりと言うステージの高い方向に脳を使うようになります。システム2が動き出しているわけです。
大切なことは子どもの脳をちょこっと刺激して、学習というシステム2を起動させることです。
ところで私の音読ですが、その後も長い間お粗末でした。今もかなりイマイチですが。
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『おじばさん』です。
本も好きだけど、絵本も好きだという先生、ぜひ、ご覧になっていただけたらと願います。