神田の古本屋で見つけた『算術と数学の歴史』(昭和16年)という本です。
うっすらと,「僕らの科学文庫」と表紙に彫り込みが入っているのが見えるように,この本は当時の小学生高学年・中学生向けに書かれた本です。
でも,中身は非常にレベルが高いです。
第1章に「フィボナッチ級数」がでてきます。これを知っている小学校の先生はあまりいません。でも,これを知っていると植物の観察の視点ががらっと変わります。
自然界とのつながりの深い級数なので,案外,理科が得意な先生の方が知っているかもしれません。
太平洋戦争開戦の8ヶ月前に出た本ですが,時局が暗くなっても算数を大切に伝えようとした人たちがいたことが,嬉しいです。
この本には,800年前のドイツの九九表や,2500年ほど前に活発だったピタゴラス教団が作った九九表なども載っていて,算数周辺のとてもよい勉強になりました。
こういう本を読み終えると,算数の本を作りたくなります。かなり面白い本が作れると思うのですが,これはもう少し先までとっておきましょう。
デカルトのことも,おしまいの方に少し載っていました。
デカルトが『解析幾何学』を発明したこと。「解析幾何学」というのは,「グラフ」の方法による幾何学であることなど,簡単に説明されていました。そうして,デカルトはグラフの目盛りをうんと小さくし,折れ線として見えているグラフを曲線としてみて考えていたとあり,「見方」の認識がまたひとつ良い感じになりました。