【横山験也のちょっと一休み】№.3459
戦前の算術の本を読んでいたら、面白い用語と出合いました。
「角頂」
文脈から、図形の「頂点」の意味と分かったのですが、念のため、「角頂」を調べてみました。
「二つの半直線、または線分のなす角の頂点。」と日本国語大辞典に出ていました。
漢字を見ても、「角の頂き」ですから、頂点だろうなとわかります。
それとは別に、「角頂」とは漢字が逆順になった「頂角」という用語がヒットしていたので、これは三角形の一番上の角のことだろうと思いつつ、覗いてみたらびっくりです。
三角形の底辺の両端の角のことを「頂角」というのです。底辺に「頂き」は無いだろうと思うのですが、底辺の角だと書かれています。
底辺の両端の角のことは、ふつう底角と言うのですが、小学校では出てこないので、底角を忘れてしまった先生もたくさんいると思いますが、底角は漢字を見ると何となく分かってきます。ですので、頂角より底角の方が語感としては妙を得ています。
この底角と頂角ですが、日本国語大辞典の用例を見ると、どちらも戦前の昭和期の文が載っていたので、戦後は漢字から意味の伝わりやすい底角の方が残ったのだろうと思えています。
本を読んで調べてみたくなる漢字と出合い、そこから偶発的に別の類語も学ぶことができました。読んだり調べたりは楽しいことですね。
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下の2冊には、「角頂」も「角頂」も「底角」も出てきませんが、面白い本なので第3集を作り進めています。4月か5月ごろには出る予定です。ご期待いただけたらと願っています。
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