【横山験也のちょっと一休み】№.3545

袖ケ浦の小学校で、5年生の体積の工夫話をしました。
算数マニアの先生方には、「あっ、あれだな」とピンと来ていると思います。

工作用紙で作った「体積の重なり君」です。
こういうのを4枚作り、裏にマグネットを付けて黒板に貼り付けます。
すると、不思議なのですが、やけにいい感じで直方体に見えてきます。

工作用紙と言えば、その特徴は厚紙に方眼を印刷しているところです。<厚紙+方眼>のおかげで、私は「体積の重なり君」を難なく作ることができています。
もし、画用紙や板目表紙などのような無地の厚紙しか、この世になかったら、私は1枚の体積君を作るだけでも、結構な労力をかけることになります。特に、中の細い線。そこに一苦労することになります。

本棚に、日本の偉大な数学者・小倉金之助の本があります。『明治時代の数学』(理学社)です。昭和22年の印刷発行となっています。
この本の31ページに、工作用紙にも印刷されている、今では極めて当たり前の存在になっている「方眼紙」の事始めが載っています。

方眼紙は西洋からの輸入品です。それを日本に持ち込み、明治9年にイギリスの教師ジョン・ペリーが初めて使いました。そのジョンの言葉も記されています。
「1876年までは、方眼紙は非常に高価なものであった。それは重要な仕事をする幾人かの人々が使用するのみであった。この年にエーヤトン教授と私とは、日本でこれを広く使用し始めた。」

こういう下りを読むと、ひと手間かけて「体積の重なり君」などを作るのも、方眼紙を使い始めたジョン・ペリーに通じるものがあるように思えます。
体積の重なり君は方眼紙のようには普及しませんが、算数ファンの先生方の間で静かな教育文化として受け継がれていくと思っています。

「体積の重なり君」は下の白い本に詳しく載せています。