【横山験也のちょっと一休み】№.3552
水曜日に神保町の古本屋街に行き、いつもの明倫館に向かったのですが、お休みでした。
張り紙を見ると、水曜と日曜が休みとなっていました。
やむなく、隣近所に並んでいる国文系の古本屋を2件覗いてみました。
ふと目に留まったのは、『数詞考』。なんでここに数詞が??と思い、手にしました。
中を開いて、少々立ち読みをすると、完璧なマニア本。
たぶん、最後までは読まないでしょう。でも、冒頭だけでもしっかり読みたいと感じさせる良書です。
奥付を見ると、大学の研究者ではなく、長く在野で研究を続けていた人だったので、これは意外な内容と出会える可能性が高いと思い、そのままレジへ向かいました。
少しですが、読んでみました。この本いいです。
数詞について論じられているので、まずは1から10までの数の読み方について記されています。
感動的だったのは、「ひとつ」「ふたつ」などの「つ」が指という意味なのではないかと出ていることです。
この指摘は見事です。どうしてそう思えるかをうまく説明できないのですが、数の起源が指と密接に関係していると考えるのは、自然なことと思えるからです。
もちろん、指とは別の形で数が生まれていたことも考えられますが、十進数として発展していった数の起源は指以外の具体的な対象物が考えられません。
関口氏が「つ」を「指」と指摘したことで、「ここのつ」で「つ」が消えているということは、「とお」には指より強い表現があり、そのため「つ」が使われなかったと考えることができます。「両手」とか「人」あるいは「一人」など、それを言い表さずに、「つ」をやめることで、大きな区切りを表現してきたようにも思えます。こう言う所、実に面白いです。
算数は数学と比べると、明らかに子どもの世界と感じられます。しかしながら、生活との密着度が高いので、中国との歴史的経緯や、藁算に見えるような民俗学、そろばんや銭ますなど経済関連の道具、さらには和算・洋算といった西洋文化など、かなり広い範囲を学ぶことができます。
算数は意外と奥深く、面白い世界を見せてくれます。
下の3冊の第3巻には加藤清正の川幅の測量法などが紹介されています。