【横山験也のちょっと一休み】№.3556

今日は珍しい仕事をしました。
『「夢中で算数」をつくる教材アイディア集』に出てくる「ネコちゃん」のイラストを集めたのです。
アドビのイラストレーターでカチャカチャやって、ネコの部分だけをPDFに集めました。

本のイラストを担当したのは、ゴトウマキエさんです。
第1集から第3集まで全部ゴトウマキエさんが担当してくれています。
ゴトウさんとは会ったことはないのですが、ネコちゃんのように楽しい快活な人なのだろうなと思っています。

本棚から自分の本を取り出して、がっちりと仕事をしたので、中も少し読んで楽しみました。自分で書いた本なのですが、どこもかしこも面白いです。

1巻の11章は「小数点君」です。これも面白いです。
小数点を黒板に書くとき、普通はチョークで「.」と書くだけです。一瞬で終わります。
そんな「.」ですので、日本の算数教育史上、誰も工夫をすることはありませんでした。小数の概念への工夫は算数の教育書にも載っていますが、記号としての小数点への直接的な工夫は、私の読んだ範囲の本や雑誌には載っていませんでした。まあ、小数点そのものは、工夫をするほど難しいものではないですので、誰も工夫しなかったのもうなづけます。

でも、私には小数点に工夫をしたくなる小学校時代の思い出がありました。小数点が付いただけで、わけが分からなくなった子が同級生にいたのです。英明君です。
大親友だったので、小数で混乱している英明君が気になって仕方ありませんでした。そこで、休み時間に英明君と「魔法の石」で遊びました。魔法の石というのは、ただの名称で実際は校庭にある小石です。
棒で地面に「51」と書いて、「これは、今51なんだけど、この魔法の石を使うと、数に魔法がかかるんだ。」と言いながら、5と1の間に「魔法の石」を置きます。「ほら、魔法がかかった!魔法の力で5点1になったんだ」
英明君は、びっくりもしたようでもあり、そういうものかと感心しているようでもあり、何となくわかったようでした。

どうして、「51」の5と1の間に「.」が付くと、5点1となるのかは、誰も説明できないのです。そういうものなのです。そういうルールが歴史的に作られてきたのです。だから、そういうものとして覚えるしかありません。そんな時は、「理屈よりユーモア」です。納得できる架空の理由があればいいのです。魔法はそういう時に大いに役立ちます。

小学校の先生になり、黒板に丸い磁石が張り付いていたのが目に留まりました。「そうだ!」と閃き、丸磁石にマジックで顔を書いて、「小数点君」としました。おかげで、私のクラスでは小数点は楽しく学ぶことができました。