【横山験也のちょっと一休み】№.3565

算数の話を一つしましょう。

高学年で学ぶ、分数のたし算の話です。
1/2+1/3を計算するとき、教える先生には、「分母をそろえてから計算する」のが常識となっています。
しかしながら、教わる子ども達の中には、その常識がなかなか確立しない子もいます。
そういう子が良くやってくれるのが、左のような分母同士を足して、分子同士を足して、答えを出す計算です。

この計算を見ていると、見た感じが実に正しく見えるので、思わずつられて丸を付けてしまいそうになりますが、小学校ではバツとなります。

こういう計算をしたとき、時計の文字盤で分数を見る学習を少し積んだ子でしたら、文字盤を使って1/2と1/3を考えてもらうと、見た目で10/12と分かり、2/5とは違うことが理解できます。
すると、「1/2に何か足して、1/2より小さい2/5になるのは変だ」と気づく子もでてきます。

文字盤を出すまでもなく、普通に紙に書いて、かくかくしかじかで分母をそろえて計算するんですよと、分かりやすく話すのも大事なところです。

と、冷静になっている時はあれこれできることが浮かぶのですが、実際の授業の中では、間髪入れずに「残念!」と言ってしまいがちです。
この「残念!」と言ってしまった後、ちょっと算数のたしなみのある先生は、「それ、中学で使えるやり方なんだよ。小学校では残念なんだけど、中学で濃度というのを習うんだけど、その計算をするとき、君のやり方が使えるんだ!でも、今は使えないので、まずは小学校の足し算をしっかり学びましょうね」と話すことができます。

濃度というのは、食塩水などの濃さの学習です。
食塩が10g溶けている食塩水が400gあり、
食塩が10g溶けている食塩水が700gあったとき、
これを合わせたときの濃度は、分母同士、分子同士を足して結果を出すことができます。

こういう高度な学習で、なぜか見た目の感覚で実行してしまう分数のたし算が使われています。
小学校では濃度を扱わないので知る必要もないのですが、子ども達が見た目で分数のたし算をしたときに、ただの残念にしないで、ちょっと良い感じの話をしてあげられたら、それっていいですね。

この分数のたし算の話は載っていませんが、下の3冊の本には、面白い算数のあれこれが載っています。
ぜひ、お読みいただければと思います。