【横山験也のちょっと一休み】№.3578

1年生で「絵グラフ」を学びます。
資料を整理して把握する「棒グラフ」や「折れ線グラフ」の基礎となる学習です。

ご覧のように積み上げていく形で整理していきます。
非常に単純な仕組みなので、別に学校で学ばなくても、自然と覚えるだろうとも感じ取れます。
今の時代でしたら、こういった積み上げ式のグラフを目にする機会があるので、何度か目にしているうちに、グラフの意味も分かるのではないかと思えます。

それぐらい簡単なグラフなのですが、これが意外なのですが、江戸時代の算数(和算)には登場してきません。
長さや面積をもめる複雑な計算は出ていても、グラフが一つも出てきません。
また、表も理にかなった形では表現されていません。あの九九表ですら、順に書き進めた内容を線で仕切っているという程度です。

そこから考えると、グラフや表を考え付いた西洋人の思考法は実に優れていると感じ取れてきます。
特に秀逸さを感じるのは、縦軸・横軸に意味を設けている点です。左の絵グラフで言えば、「横軸には項目」「縦軸には個数」と意味付けをしています。言い方を変えると、縦と横を定義して、その定義に即して内容をきっちりと示しているのです。

和算の有名人である吉田光由や関孝和はなぜこのような表の縦横への定義づけに気が付かなかったのだろうかと疑問に思います。
その答えは、たぶん、問題の解決の仕方の中に現れているだろうと私は思っています。解法のテクニックは書いてあっても、問題文で定められている項目についてピックアップをすると着実な記述を好まなかった点にあるのだとみています。