【横山験也のちょっと一休み】№.3595
算数で、驚異的なすごさを感じるひとつに、かけ算があります。
8を4個たすことを、ギュッと束ねて8×4と、かけ算にすることができます。
ですから、左のたし算とかけ算は同じ答えになります。
これを小学校2年生の大方の子がかなり簡単に理解します。しかも、ちょっと学習しただけで、上の2つの式を見て、「たし算の方に8が4つあるから、答えは同じ」と判断する力を持ちます。しかも、それぞれを計算して確かめることをせずにです。「たいした能力を持ったものだ!」と思えてきます。
どうして、異なる表記の物でも、すぐに同じとわかるようになるのか、と思いを巡らすと、行き着く先は、いつも国語の漢字です。
「火」を「ひ」と習って、しばらくすると、火曜日の「か」と習います。
「ひ」と「か」とでは、音に関連性が全くありません。無関係の読みが1つの漢字にあるということを、極めて当然のこととして、国語の時間に教わるわけです。この学習が、かけ算の高度な学習を支えているのだと、私は思っています。
1つの漢字に2つも3つも読みがあるのが当たり前と教わっているので、「5×3」を見て、それを「ゴかけるサン」とそのまま読んだり、「ゴサン」と短縮して読んだり、はたまた「5+5+5」とたし算で読んだりすることに、不自然さを感じることがありません。まさに、漢字の読みのおかげです。
そういことが頭にあるので、左の本の表紙にある、「ヘビ君の家」というちょっと変わり種の教材が生まれてきます。
封筒で作ったヘビ君の家の中から、ヘビ君を少しずつ引っ張り出して、子ども達に大きな声で読ませます。
ただ、書いてある通りにたし算で読んだのでは、学習になりません。ここは「かけ算読み」をします。
表紙の状態でしたら、「5かける2」と読んだり、少し学習が進んだら「ゴニ10!」と読み上げます。
ヘビ君をもう少し引っ張り出して「5+5+5」になったら、「ゴサン15!」と読みます。
算数の中に漢字の読みを感じると、教材づくりの閃きがまた少し良くなってきます。
下の3冊には、ヘビ君のような面白い算数の教材がたくさん載っています。