【横山験也のちょっと一休み】№.3620
今日は戦前の算術の話をしましょう。授業で積極的に話しましょう、という内容ではありませんが、こんな計算を喜んでやっていた昔があったという話です。
【算数の教養話】
かけ算の筆算の話です。
左のかけ算をご覧ください。
ちょっと変わっています。意図があって、このように筆算しています。
さて、それはどんな意図でしょう。
48の4から先に計算している!
そうお考えになった先生もおられると思います。まさに、その通りです。
「1の位の8から筆算しないと正しい答えは出ない!」と、そんな決まりはありません。10の位から先に計算しても、位取りさえ間違えなければ、答えは正しく出ます。
ですが、この筆算を子ども達に話している先生は、もうひとひねりしています。
それは、「48」を見て、「これは、10の位から先に計算した方がいい!」と判断したのです。なぜ、そのように考えたのでしょうか。
それは、8は4の2倍なので、先に612と計算したら、この数を2倍すれば、それは8の計算結果と同じになります。
「×4、×8」と計算するより、「×4、×2」で計算した方が簡単だということです。
これは愉快痛快です。
もう一つ、例を示しましょう。
「かける3桁」なのですが、2段しか計算していません。どうしてでしょうね。
これも、369の36と9の関係を見て、このように筆算しています。
9を計算した結果の4倍が×36の答えとなるので、「1377×4」を計算しているのです。
愉快ですよね。
筆算を見たら、とにかく1の位から一つずつかけ算をしていくことはとても大事なことです。が、どうにも、やらされている感がしてきます。
しかし、数をよく見て、倍の関係にある数が横並びにないか思い、知恵を使って計算すると、何とは無く「してやったり」と楽しい気分になります。
計算が好き!という子がたくさんいたら、ちょっと話してあげるのもいいですね。
下の本には、この「倍みつけ」は出てきませんが、算数の授業で使えるアイディア教材がたくさん載っています。小学校の先生、ぜひ、御注目ください。