【横山験也のちょっと一休み】№.3627

戦前の算数の教科書から、珍しい内容をご紹介します。
教科書のタイトルは『カズノホン』です。モンブシャウの本です。
表紙の色は「水色」。

この「水色」と聞いて、「あっ!」と感じた先生は相当の算数通の先生です。主に戦時中に使われていた教科書で、理数科の中の算数として位置づけられていました。

写真が斜めになっていますが、これは折り目をつけたくないほどに状態の良い教科書だからです。

写真は1年生の上巻に当たる教科書です。
数が縦に2つ並んでいますね。これはたし算の筆算です。
筆算なのですが、+の記号が書かれていません。たし算初学の子には、+付きの筆算はわかりにくさを持っているとの判断したのでしょう。記号を取り去るという考え方に、柔軟さを感じます。戦争直前の軍国時代ですから、もっとコチコチの思考と思ってしまうのですが、現実は違っていたようです。

+の記号が無いと、上から下へすんなりと、まっすぐに見ていけるので、これは国語の教科書の文と同様の縦書きと同類と感じら、親しみやすいです。案外といいかも!と思えるので、1年生の担任になった先生、ちょっと実践してみるのもいいかもしれませんね。

尊敬する野口芳宏先生は小学校4年生の時に終戦を迎えられました。
ですので、小学校は国民学校です。この水色表紙の算数の教科書を開いて、野口先生も勉強したのです。短くなった鉛筆は柄を付けて使いましょうと言っていた時代です。

下の3冊は私の書いた愉快な算数の本です。小学校の先生、ぜひお手元に!