【横山験也のちょっと一休み】№.3629

次の計算をしましょう。
① 16×18
② 19×14

こう出題されると、スマホでチャチャッと答えを出す人が大方でしょう。もう、自ら計算する人は少ないのではないでしょうか。
それはごく一般の世の中の事で、小学校の中では紙と鉛筆を使って筆算をします。これが順当なやり方となっています。

戦前の算数の本を開いていると、この程度のかけ算は暗算でできるようにしましょう!と呼びかけている先生もいます。明治時代の松岡文太郎と言う先生です。ネットで調べたのですが、何をされていた先生なのかは全くわかりませんでした。


松岡先生は左のように考えて計算をすればよいので、この程度の計算は暗算でできるようにしましょうとしているわけです。

15×18なのですが、考える時には「15×8」で考えるようにすると簡単に計算できるということです。
どういうことかと言うと、たし算コーナーの23や22は、それぞれ15+8=23、19+3=22になっています。
たし算コーナーの2行目は、1の位だけのかけ算「5×8=40」と「9×3=27」になっています。

こういう計算の説明ですが、因数分解を学んだ人には、もう少しわかりやすい方法があります。
15×18=(10×10)+(10×8)+(5×10)+(5×8)となります。
太字の所をまとめれば、10×(10+8+5)となります。この太字がたし算コーナー1行目の「15+8」となります。

でも、小学生にはどうしてこう計算すると正解が出るのかを説明しづらいです。種明かしがうまくできないのです。それでも速算には役立つので、教えるとなると理屈抜きで教え込むようになります。こういうのを称して教え込みというのだろうと思えます。今の考える時代には教育的にはダメとなりそうです。

ところが、プログラミングをやっていると、理屈抜きでこう書けばいいというのをマスターすることから始まります。if文を使うとどうして分岐するのか、その理由を全く知らないまま、if文を書くわけです。それが正しく書いていればアプリは動き始めます。こちらの理解とは無関係に、正しく書いてあれば問題ない世界だからです。車の教習所などもそうです。ブレーキの仕組みを納得するまで運転できないのだとしたら、私は免許が持てなかっただろうと思います。

暗算の事例。ちょっと面白そうと思った先生は、算数の余興で速算してみせるのもいいですね。
※『算術解法之極意』(松岡文太郎、文魁堂)明治31年。

今回の暗算は下の本には載っていません。でも、下の3冊はなかなか面白い算数の本です。松岡文太郎先生が読んだら、どう思うでしょうね。