【横山験也のちょっと一休み】№.3683
戦前の黒表紙時代の算術の教科書、それも教師用がひょっこり出てきました。
1年から6年までが合本されているタイプで、大変珍しい本です。
せっかく出てきたので、パラパラと眺めてみました。
かけ算九九の学習は2の段から順に9段へと進みます。
今の時代は、まず5の段からとなっているので、時代の流れを感じます。
また、この当時は、2×1、2×2、2×3・・・という順ではなく、1×2、2×2、3×2・・・を学んでいました。
これは1が2こ、2が2こ、3が2こあるという意味になります。
面白いのは、「1×2」と書いてあっても、これを日本式の九九の声で「にいちが」と読み上げています。
「逆になっている」と思った人もたくさんいたと思います。
その思いがあると、「2×1=1×2」という交換の法則を体験的に会得していく学びになっていると伝わってきます。
なかなかよくできた方法と思えます。
こうして、2の段を勉強したら、すぐに応用として、次のような問題を少し扱うといいとなっています。
30×2、300×2などです。
その理由が示されていますので、ちょっと引用します。
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30×2、300×2 は 3人×2=6人に準じて3十×2=6十、3百×2=6百の如く考へて計算せしむべし。
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このように、漢字での筋の付け方は、解りやすいですね。
もちろん、今はこういう学習はしません。
何十、何百のかけ算は、別途きちんと指導します。
その時、漢数字をうまく使って説明したら、子ども達にとってもわかりやすくなります。お勧めは、丸く切った紙に「十」や「百」と書いて、「0」や「00」の上にペタッと貼り付けることです。
下の3冊は私の書いた本です。ぜひ、お読みいただけたらと願っています。