横山験也のちょっと一休み】№.3698

今日はうっかりミスによる誤答への対策を1つ紹介します。それは、「誤答率」に着目する方法です。過去の事例の誤答率を使って、子ども達に注意して問題に取り組む意識を持たせることができます。

誤答が生じやすいの基本問題ではなく、応用問題です。単元の後半に登場するような問題に誤答が増えます。
今、仮に、たて2m、横40cmの長方形の面積を求める問題があったとします。
これは基本問題ではありません。単位が異なっているので、応用問題となります。当然、単位換算で引っかかりやすいです。

こういう問題を出すときに、こんな風に切り出します。

「これから面積の問題を1つ出しますが、以前に教えた5年生は40%の人が間違えました
まあ、このクラスだと山田さんの列からこっちにいる人は全員間違えたということです。
さて、みなさんはどうなるでしょう」
 すると、子ども達は以前の5年生へのライバル心が湧き上がり、間違いをより少なくしようと、注意深く問題を見るようになります。これで注意喚起のシステム2は起動します。

このやり方の面白いところは、誤答率の正確さはあまり重要ではないことです。
先生が誤答しやすい問題だなと思った時に、感覚的に割合を示し、クラスのこの範囲の子が間違えることになると話しておけばいいのです。誤答率の正確さより、「誤答をキミがする可能性が高い」ということを感じ取らせればいいのです。それだけの情報で、子ども達のシステム1は危険回避への行動を促進します。一瞬にして、気を付けようモードになり、システム2を呼び起こすことになります。

また、このやり方は、問題のどこにどういう注意を払うかは教えません。
自分で問題の中にどんなひっかけがあるかに気付く、ひっかけ発見の体験をする学習にもなっています。見付けたひっかけを言語化することで、うっかりミスへの対策が一つ進みます。

蛇足を一つ。ひっかけに気づく意識が育ってきたときに、一つのキーワードを持たせると、意識の持続が高まります。小さな文化がクラスで社会化されやすいということです。私が当時使った言葉は「その手は桑名の焼き蛤」でした。

蛇足をもう一つ。このやり方は自然と割合のパーセントや歩合(割分など)の感覚を伝えることにもなっています。

下の3冊の本には、この話は載っていませんが、面白い算数アイディアがたくさん載っています。