【横山験也のちょっと一休み】№.2961
台形のことを戦前は「梯形」と呼んでいたことを以前に書きました。
では、江戸時代はどうだったのか・・・
自分の中で、これがちょっとした疑問になっていました。
偶然ですが、本棚の奥を見ていたら、『萬代塵劫記』という安政2年に刊行された算術書が出て来ました。
もちろん、和本です。
この本は塵劫記と銘打っているので、吉田光由の書いた『塵劫記』に習った内容になっています。
この中に「検地の法」と言う章があります。
そこに左の通り、台形の土地の面積の問題が載っています。
問題文の1行目に味わい深いことが書いてあります。
「今 図の如き 梯田あり」
今、図のように、梯の形をした田んぼがありますと書いてあるわけです。
ということは、「梯」という言い回しは、江戸時代から極めてポピュラーな言葉だったと感じとれます。
それがわかっただけでも、今日は充実した日になりました。
その次も感動的なことが書いてあります。
「上頭七間 下頭九間」
上底下底ではなく、上頭下頭なのです。
江戸時代まで頭と呼ばれていたところが、明治になって底と変わるわけです。
なんというか土地に対する愛が無くなった気がします。
こういうことを調べるだけで、台形にはかなりの愛着がわいています。
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私の書いた算数の本です。面白いですよ。
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