上條先生とお会いして,あれこれ話し込んで,授業づくりネットワークの大会にちょっとだけ参加することにしました。
開会式の終わり頃に入れたので,お目当ての武田信子先生と上條先生の講演と対談に間に合いました。
会場の後ろの方に座って,フロアをざらっと眺めたら,定位置に佐藤先生がビデオをセットして座っているのを発見。この段階で,講演後は佐藤先生にインタビューと決まりました。
インタビューして,実に感動しました。
佐藤先生は,5年生の途中から算数を任されました。最初の仕事がテスト。なんと,女子は平均点が20点なのです。やる気が感じられない答案用紙。テスト時間も45分では終わらず80分かかり,それでも成果が出ないという惨状でした。
その次の単元を佐藤先生が指導するのですが,まだ,若いので腕が思うようには立ちません。とりあえず,普通の指導をし,最後の振り返りで算数ソフトを30分ほど使いました。
そうしたら!そうしたら!
子ども達がみるみる変わっていったのです。
ワイアレスマウスで順にクリック。これを一人一人やらせたら,もう,算数ソフトの世界に夢中です。「もっとやりたい!」の心に急変したのです。
そこで,佐藤先生は子ども達に言いました。
「何回か見たので,何か気がついたことがあるだろう?」「何か,きまりが見つからなかったかい?」
このような言葉かけをしたら,子ども達は口々にあれこれ言いだしたのです。算数無気力だった子ども達が,一気に算数のきまりを言い出しました。
佐藤先生は,子ども達の言葉を受け,黒板にきまりを整理したそうです。
そうして,ソフトをやり終え,「自分なりのまとめをしましょう」「何が分かったか書きましょう」と投げ,「算数用語を最低1つは入れて欲しいな」とも促しました。
きまりを見つけさせる。
子どもの言葉を整理する。
自分なりにまとめさせる。(算数用語を使う)
どれも,非常に高度な指導です。それを自然な流れとして使いこなしています。さすがです。
そうして,いよいよテストをしようとしたら,「算数ソフトでもっと勉強したい!」と子ども達が願い出てきました。そこで,「テスト時間が短くなるけど,それでもいいのかい」と返したら,「30分で良いです!」とクラスがまとまったそうです。
算数無気力のクラスが,算数のテストを30分でやり遂げる形にまとまり,しかも,ソフトで勉強を続けたいと願うのです。これこそ,本来の学びの姿です。そんな姿に,あっと言う間に変容したのです。
テストの結果は,男子も女子も平均点で90点を超えました。
算数ソフトを振り返りに活用し,子ども達にきまりを見いださせるように促します。
こうした授業で,驚きの成果です。
しかも,これを若い先生が無理なく自然に行ったのです。
実に,嬉しいです!
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