【横山験也のちょっと一休み】№.3640

SG会に出てくるレポートが、私にとって面白いものが増えいます。なんともありがたい思いになっています。
その中でも、川合先生の算数の問題(学力テスト)の考察は、感心しきりでした。

8人に、4Lのジュースを等しく分けます。
1人分は何Lですか。求める式と答えを書きましょう。

これの正答と誤答から、川合先生が論述しているのですが、そこも素晴らしいのですが、私が一番感じ入ったのは、川合先生がこの問題文の日本語に、「ちょっと妙」と感じたことです。

小学校の先生を何年もやっていると、この問題文は極めて普通の文と感じる感覚になっています。私も経験を積むことで奇妙さを感じなくなっていました。
それでも、あれこれよく考えていると、ふと、これは奇妙と感じることがあります。

川合先生はもう少しで定年を迎える超ベテランの現役先生です。それなのに、奇妙と感じるその感覚が素晴らしいです。察するところ、極めて注意深く文章を読む先生なのです。

川合先生は上の問題文を普通の文に直しました。「4Lのジュースを8人で等しく分けます。」と。語順を変えたこの文でしたら、不自然さが無くなります。
言い回しの微妙なところに違和感を感じる感覚が実に立派と思っています。

さらに、この普通文は、「8人に」を「8人」と変えています。ここもさすがです。これにより、問題文を言っている人の立ち位置が大きく変わってきます。学力テストの「8人分ける」という流れは、まさに先生のような立ち位置からの言葉です。しかし、それを直した川合先生の「8人分ける」は自分たちで分けている立ち位置に近づきます。
「に」と「で」の違い。どっちの文が子どもに理解しやすいかを考えると、川合案となります。
川合先生は特別支援級の先生です。解りやすさを自然体で表しているのかもしれないと思いました。
細かい所ですが、案外大事なところを含んでいるようで、大いに勉強になりました。