【横山験也のちょっと一休み】№.3539

夏目漱石の『坊っちゃん』。
みなさんもご存じの、「親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている。」で始まるお話です。

子どもの頃のエピソードとして、真っ先に記されているのは、小学校の2階から飛び降りて、一週間ほど腰を抜かしたことです。

飛び降りる羽目になったのは、友達から飛び降りられないだろう、弱虫やーいと言われたからです。負けん気の強い坊ちゃんは飛び降りてしまうのです。

今なら、言った子も叱られ、坊ちゃんも叱られ、となるでしょうね。

腰を抜かしたので、小学校の小使いさんに背負われて家に帰りました。すると、お父さんから怒られます。

今の時代なら、「なんで、そんなことをしたんだ!」とか「骨折でもしたら、大変なことになっていたぞ!」などと、坊ちゃんのしたことが悪いこととして叱られます。

でも、坊っちゃんの時代は明治時代。お父さんも気が強い!
叱り方が違います。

「おやじが大きな眼をして二階位から飛び降りて腰を抜かす奴があるか」と書かれています。
腰を抜かしたことが恥だったのです。そんな恥ずかしいことをするな!と叱られたのです。
こうやって坊ちゃんは育てられていたので、坊ちゃんも返します。「この次は抜かさずに飛んで見せます」と。

「鍛える」というのは、こういうことを言うのだなぁと思い、自分の子供のころは、かなり甘かったと感じました。