『キーワードでひく 小学校通知表所見辞典[道徳の評価追補版]』が10月17日に発売になります。
道徳の評価が追補されています。
これは本当にありがたいことと思っています。

◆次回SG会の課題図書『死ぬほど読書』を読むと、随所に道徳を感じます。

ちょっと強めに、「おや、道徳だ」と感じたところを、1つ御紹介しましょう。

人間にとって一番大事なのは、「自分は何も知らない」と自覚することだと私は思います。(p27)

本を読むと、自分の無知を痛感します。
読めば読むほど、自分は何も知らないまま今に至っていると思えてきます。
そうして、自らの無知を恥ずかしいと思えるようになります。

すると、さらに発展して、知ったかぶりで話をすることも恥ずかしくなってきます。

行き着くのは「謙虚」の世界です。

だから、無知を知ることは大事なことなのだと自分でも思っています。
しかし、一方で、これでは精神的にへこむ一方のように思えてきます。
知らないことを自覚するなんて、どうにもマイナーな思いです。
少々知らなくても、知っているつもりで強気で進めばいいのだと思うと、非常にポジティブに思えます。

でも、そうではないのです。
「学びの道」は、なかなかうまくできています。
知ったかぶりの強気は学びたい気持ちを萎えさせる効力を持っています。
自然、本には目がゆかなくなります。
大事なのは情報より精神力となっているからです。

無知の恥ずかしさがあると、どうなるでしょう。
恥ずかしいが故に、学びたい気持ちが増強されてきます。
気が付くと、また、本を買っています。
これが連続します。時が経つと、それなりに分かった状態になるのですが、まだ、自分は知らない事が多いと謙虚になり、さらに学びが続きます。
「学びの道」は良い道です。

こんなことが頭を巡り、だから、丹羽氏は知らないことの自覚が大事だと言っているのだと、ふと思いました。

◆似たような言葉が『論語』にも載っています。

これを知るをこれを知ると為し、知らざるを知らずと為す。
これ知るなり。(論語)

◆道徳の評価文の良い事例を知っていると、大きな過ちは犯さずに済みます。
そこを、知ったかぶりで自分の経験で書いていくと、残念な道を歩んでしまうことになります。