姿勢を良くすると,どんな良いことがあるのでしょう。
そのことを,お医者さんが本に書いています。
『人間回復の医学』(池見酉次郎/九州大学名誉教授(内科,心身医学))に以下のように書かれています。
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立腰の功徳 十カ条
一,やる気がおこる
二,集中力が出る
三,持続力がつく
四,頭脳(あたま)が冴える
五,勉強が楽しくなる
六,成績も良くなる
七,行動が俊敏になる
八,バランス感覚が鋭くなる
九,内蔵の働きがよくなる
十,スタイルがよくなる
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「立腰」というのは,腰骨を立てることです。
森信三先生が,「立腰教育 」を推進されていて,それに感銘を受けた池見先生が御著書の中で森信三先生の解説に少し手を加えて,上のように示されています。
また,次のようにも書いています。
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医学的にも,「よい姿勢は,自律神経機能をととのえる」(高木),
「坐相のよい人ほど脳(心)の働きのバランスがよい」(平井)
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良いこと尽くめです。
十箇条の10番「スタイルが良くなる」に,心がひかれた方も多いと思います。
歳を重ねると,それなりにダブついてくる物があります。
良い姿勢を保っているとき,下腹部に若干の力が入ります。
これが,スタイルに影響するのだと思います。
また,内蔵が圧迫されないので,消化器官にも良い影響が出て,中からもスタイルを良くしてくれるのだと思っています。
それ以上に,重要なのは,周囲の人の目が変わってくることです。
「作法教育」 の基本「 内は外を資け、外は内を養う」(伊藤仁斎)に表されるように,
外をしっかり正すと,内なる考えも正しい方向に養われていきます。
その養われた内が,外に向かって資質として発揮されます。
これが,周囲の人の目に,凛とした姿として映り,「しっかりしている」「立派だな」と好感を与えることになります。
驚くことも起こります。
就職試験の最後の面接。
そこを勝ち抜いた人が,後から採用理由を聞いたら,「控え室でのキミの姿勢が良かったから,キミを選んだ」と言われたそうです。
能力の差はペーパーテストに出ます。
人格の差は姿勢に出るようです。
道徳の時間に作法が教えられる時代になって欲しいと願っています。