【横山験也のちょっと一休み】№.3272
算数のそろばんの話を一つ。
そろばんの部位の名称は教科書にも載っています。
それより、少し多めに子ども達にお話をしたいときは、「天地」と「上下」もお話をされるといいですね。
天と地は、そのまま「てん」「ち」と読みます。
上と下は、小学校1年生で習う漢字なのですが、読み方は意外と難しいです。
古典など読んでいると、「上下」と出てくるのですが、これを「しょうか」と読んだりすることがあります。
辞書を引くと、「上下」の読み方は、かなり出てきます。
「うえした」
「じょうげ」
と馴染んだ読み方の他に、先ほど書いた
「しょうか」
さらには、
「あがりおり」
「あがりさがり」
「あげおろし」
「あげくだし」・・・おなかを壊して吐いたりくだしたりすること
「あげさげ」
「うわっさげ」・・・満潮から干潮へかわっていく間
「かみしも」
などなど。
こんなにたくさんの読み方があると、いったいどの読み方なのかわからなくなることがあります。
小学校1年生の漢字なのですが、読みは大学並みと感じています。
さて、肝心のそろばんの「上」「下」は「かみ」「しも」と読みます。子ども達に話せるのは、このぐらいまでですね。
先生向けには、もうひと押し。
そろばんの左右の部位なのに、なぜ上下と呼んでいるのでしょう。
ここは決定打はありません。
しかし、きっとこうだろうというmy説はあります。
江戸時代まで文章は縦書きで書いていました。また3635といった算用数字(アラビア数字)は無く、「三千六百三十五」と漢数字で書いていました。上に位置するのが千や百といった大きい数で、下に位置するのが十や一など小さい数です。
そうして、江戸時代に入り、そろばんが流行します。文章では上に位置していた千や百が、そろばんでは左に位置します。下に位置していた十や一は右側となります。
桁の大きい方が上となり、桁の小さい方が下となったのであろうと考えています。
そう考えると、3635+8を計算するとき、5+8=13となり、一桁繰り上がります。この「上がる」というのにも、文字としての上下から来ているものと考えられます。
—
算数用語の話も楽しいですし、こちらの2冊も楽しいです。
この本には、算数の授業が楽しくなるアイディアがたくさん紹介されています。
この本に登場するネコちゃん、可愛いです。