【横山験也のちょっと一休み】№.2665
■ 戦前の算数:小数の読み上げ ■
右の本は、戦前の算数の教科書ですが、「第一学年」の下に、「教師用」とあります。
今でいう所の「教科書指導書」です。
教科書指導書は教科書メーカーが作っていますが、この当時は教科書を国が作っていたので、教師用指導書も文部省(現在の文部科学省)が作っていました。
現在も、『学習指導要領の解説』は文部科学省が出していますが、それより、細かく、「これはこうする」と示されているのが教科書指導書です。
今、小数は3年生で学びますが、当時は4年生で学習していました。
その指導について、覗いてみましょう。
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帯小数ハ四ト二分五厘ノ如ク唱ヘ,
又ハ小数部ヲ棒読ニシテ四点二五ノ如ク唱ヘ,
又小数モ零点二五ノ如ク唱フルコトアルヲ授クベシ.
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※「帯小数」については、<こちら>をお読みください。
基本の読み方が示されています。
「4.25」でしたら、「4と2分5厘」と読みます。これが基本となっています。
別の読み方として、棒読みにする「4点25」があります。
また、1未満の小数については、「0点25」のように読み上げます。
数唱を見比べてみると、次の決まりがあることがわかります。
1、分厘毛を用いる時は、「4と」と読み上げる。
2、棒読みの場合は、「4点」と読み上げる。
と、このように分類をすると、自分でなるほどと思うのですが、その横で、大事なポイントを落としていることに気づきます。
それは、意味の伝わりやすさです。
なんというか、肌感覚で伝わるかどうかという点です。
「4点25」はストレートな読み方なるがゆえに、無機質さを感じます。
読むことで、伝わってくる意味が伴っていないということです。
ところが、「4と2分5厘」となると、分厘が肌感覚で分かっていると、4に付け足すことの2分5厘がストレートに脳にイメージされます。
垂直と平行を学んだ時、垂直にウルトラマンのショワッチュを結びつけることが必要になってくるのは、垂直という用語に肌感覚の意味を感じないからです。
こういう時に、「垂直は、真っ直ぐに(地面に向かって)垂れる」という意味を伝えると、「4と2分5厘」のような、言葉自体が意味を持ち合わせるようになります。
今の時代の小数は、棒読みですので、そこに意味を伝えることが必須となります。
それには位取りの仕組みを子ども達にわかりやすく示すことです。
どんな風にするとわかりやすいのでしょう。
これについては、来年の3月に出す予定の算数の本に、具体的に記していく予定です。
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