【横山験也のちょっと一休み】№.2290
■単位を漢字で書くと■
ルワンダの教科書を見ていると、dag(デカグラム)とかhm(ヘクトメートル)とか、見慣れない単位が出てきます。
若いころ、算数で習う単位の漢字表記を知り、それが極めて論理的であることに感動したことを覚えています。
ちょっと、表をご覧ください。(メートルについてのみ記します。)
これが明治維新に日本に輸入され、そのままではどうにもならないので、漢字を当てて意味をつかみやすくしました。
単位の漢字を使って単位の換算の問題を作ると、次のようになります。
(例1) 5粁 = ( )米
悩みは少ないです。
「5粁」の中に「千」が見えています。
「5千米」ということです。
(例2) 5粁 = ( )粨
「千米」を、「百米」に直すのですから、これも易しい問題となります。
なぜなら、千・百などが「位取り」を表現しているからです。
アフリカのルワンダの教科書には、kやhやdaが全部出てきます。なぜなら、これらが千・百・十などの意味になっているからです。
k=kilo (ギリシャ語で1000の意味)
h=hecto (ギリシャ語で100の意味)
da= daca (ギリシャ語で10の意味)
d = deci (ラテン語で10番目の意味)※eの上にノがつく
c = centi (ラテン語で100の意味)
m = milli (ラテン語で1000の意味)
(このような意味があるので、日本に輸入されたとき、千・百・十などの漢字を宛てたのです。)
日本では、
【km、m、cm、mm】
の4つの単位を学びます。日常生活はこれで十分だからです。
もし、今も漢字で単位を表していたら、どうなるでしょう。習うのは、
【粁、米、糎、粍】
となります。でも、ちょっと変な感じがしてきます。百と十と分が抜けていると感じてしまうからです。
千や百や十は、「位取り」を意味する重要な言葉ですから、抜けたままにはできないです。抜けると、算数の数理的な世界を壊すことになります。
こう考えてくると、恨めしくなるのは戦後の漢字制限です。
粁や粨などは使えません。
当然、位取りという論理性を失いました。
それだけでなく、いきなりkやcで教えるので、kmやcmがただの記号となってしまいました。
そのために、教室では「暗記」と「練習」にたよる授業になっていきました。
また、「分・厘・毛」は野球の打率が最後の砦のようになっていましたが、その野球も人気が衰えています。今となっては、「分・厘・毛」を位取りとしてスパッと把握できる若い人は少ないのだろうなと思います。
小学校で教える単位の学習は、歴史的には後退の道を歩んでいます。
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こちらの2冊には面白い算数の授業が載っています。
小学校の先生にお薦めです。
この本に登場するネコちゃん、可愛いです。
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