柳沢淇園の『雲萍雑志』です。

江戸時代,文武両道を極め,人の師として立つことができる芸を16も会得した柳沢淇園の書いた書です。
でも,この本には,そういう道を究めた雰囲気は余り感じられませんでした。
それでも,面白いのは,江戸時代の考え方を知ることができたことです。

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長生きをしたいと思ったら,ウソをつくな。
ウソは心を浪費する。
人,心に労なければ,命長し。
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「夏日の七快」 も載っています。
これを読みたくて,この本を見つけたときに購入したのです。
「夏日の七快」は,戦前の女学校の修身書に採用された作品です。
その出展が『雲萍雑志』と聞いてはいましたが,まだ,読んでいませんでした。
今年の古本市で,偶然見つけ,ようやく読むことができました。

「夏日の七快」 の次には「飲酒の十徳」が載っています。
そのまま,ご紹介しましょう。
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礼を正し,労をいとい,
憂いを忘れ,鬱を開き,
気を巡らし,病を避け,
毒を消し,人と親しみ,
縁を結び,人寿を延ぶ。
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お酒は,良いことずくめと思えてきます。
でも,この後に「罰酒の法」と続きます。
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古人罰酒の法あり。
三合を飲酌の限りとす。
もしこの法を失う時は,
家を乱し身を滅ぼす。
箕子一たびなめて良薬と賞し,
二度なめて心をみだすのなかだちとおどろき,
三度なめて国家を失う基と悟れり。
労なく憂いなき時,飲むべからず。
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江戸時代にも,お酒にはイマイチと思われる所があったのですね。