元旦に本が届きました。
『雑兵物語 おあむ物語』(岩波書店)です。

研究所の藤原先生から話しに聴いていた本です。
いつか読んでみたいと思っていました。

まさか,お正月に届くとは思ってもいませんでしたので,
今年はさい先が良いと感じつつ,すぐに読みました。
実によい本です。

目当ては「おあむ物語」です。
でも,「雑兵物語」が先に書いてあるので,流れに乗って読みました。
「雑兵物語」には足軽の心得がしっかりと示されています。

敵の騎馬が来たら,まず馬に一発鉄砲を撃ちます。
それから侍を打ちます。これが基本です。
でも,相手が集団だったら,馬上の侍を打ちます。
馬が,暴れ馬のようになり,攪乱できるからです。

場に応じて,ねらいが変わります。
これは良いです。
何でもかんでも,いつも同じ,という訳にはいかないのです。
根本は相手を倒すことです。
倒すために,相手の状況に応じて,こちらも対応を変えていきます。
400年も前の足軽が,こういうことを考えているのですから,日本人は立派です。

「おあむ物語」は,もっと感動しました。
落城寸前の大阪城。
お城には,敵の生首が運ばれてきます。
この首の所に,お歯黒を塗るように仰せつかります。
そういう習慣(作法)があったからです。
塗るのは,今で言えば,高校生ぐらいの女の子です。
その女の子の名が「おあむ」です。
おあむは血なまぐさい生首の間で寝ることもあったそうです。

人の感覚は,時代によって,場によって,大きく変わることがわかります。
それでいて,時代に応じた礼儀作法が横たわっていることもつかめます。
このような具体的な内容が,時代の大きな流れを形成し,私に強く響いてきます。
実に,本は有り難いです。