国語教育を救え 宇佐美寛 18.7.11発売

教育学界最長老の一人にして、衰えることなく吠え続ける宇佐美寛先生が、今作では国語教育に絞り、その現状を斬りました。読書百遍義自ら見る――「読み書きの能力は、読み書きをすることによって育つ。」として、

①とにかく読む。それも、古典を読み、模範とする。
②体を使って(手書きで)書く。

それなくして読み書きの能力が伸びることはないと言い切ります。

さらに、「発問は教師の論理で作られている。学習者の読み手としての独立した世界の可能性は無視されている。ところが、読み手は独自の想定・関心で原文を読む。独自の世界を作る。ある特定の小さい部分に特に注目する。好きになる。」(p.121)と、発問による授業を「誤った有害な方法」と断じました。

ちなみに「私自身は、毎回、文章を書きはじめる前に、鷗外の「阿部一族」を五分間程度読む。これで思考の調子が安定する。」(p.118)

【もくじ】
第1章 原稿用紙で思考するのだ
第2章 彼(彼女)は東大出だろうな
第3章 読めばいいのだ、書けばいいのだ
第4章 〈お礼〉の記号論
第5章 教室方言
第6章 前おきをやめよう
第7章 概念
第8章 教材文からの遊離・分裂

四六判・上製・146頁
本体価格1,800円
ISBN 978-4-908983-24-5